海外FXには、国内FXにない特徴が多いです。
ハイレバレッジをかけて少ない資金でも大きなトレードをおこなうことができたり、万一損失が発生した際にもゼロカットにより借金が発生しないなど、アクティブなトレードをしやすいのが魅力でしょう。
一方で税制の優遇がなく、入出金時の手数料も国内FXより高くなりがちなど、デメリットも存在します。
海外FXをおこなう際には、メリットだけでなくデメリットも踏まえて業者選びをすることが大事です。
国内FXとの違いを抑えながら、海外FXの特徴について網羅しましょう。
海外FXは?国内FXとの違い
FXには、国内FXと呼ばれるものと海外FXと呼ばれるものがあります。
証拠金による差金決済取引をおこなう根本的な仕組みは一緒ですが、国内FXと海外FXでは細かな違いが多いです。
どちらにもメリットもあればデメリットもあるため、FXをおこなう際はそれぞれの特徴を理解したうえで始めなければいけません。
特に、基本的な取引ルールも変わってきますので、自分の取引スタイルに合う方を選ぶことが大事です。
海外FXの特徴を、国内FXとの違いを踏まえながら解説します。
海外の会社が運営しているFX
海外FXは、海外に会社を構えている業者が提供しているFXのことです。
勘違いしやすい点として、国内FXか海外FXかという判断材料は、本社の所在地ではなく日本の金融庁の監視下にあるかどうかという点で判断されます。
よってたとえ海外に本社を持っていても、日本の金融庁の許可を得て運営している会社は国内FXという扱いです。
つまり日本で金融商品取引業者として登録されていれば国内FXですが、海外FXの場合は登録されていません。
よって海外FXでは、日本以外の国で金融ライセンスの登録をおこない営業しているのが一般的です。
中には複数の国における金融ライセンスを取得しているような海外FX業者も存在します。
国内FXとの大きな3つの違い
日本の金融庁の許可を得ているかという点以外にも、国内FXと海外FXではさまざまな違いがあります。
基本的な違いは、以下の表の通りです。
国内FX | 海外FX | |
---|---|---|
日本の金融庁の許可 | あり | なし |
レバレッジ制限 | 個人の場合は25倍まで | なし |
ゼロカットシステムの搭載 | 不可 | 可能 |
スプレッド | 比較的狭い | 比較的広い |
プラットフォーム | 業者独自のものを使用 | 統一プラットフォームを用いている業者が多い |
各種ボーナス | あまり金額が大きくない | 豪華 |
ロスカット水準 | 高い | 低い |
信託保全 | おこなわれている | おこなっていない業者が多い |
実際のトレードをする際にトレーダーへの影響が大きい部分としては、以下の3つの違いになります。
- レバレッジ制限の有無
- ゼロカットシステム搭載の有無
- NDD方式とDD方式の違い
それぞれの項目について掘り下げて見ていきましょう。
レバレッジ制限の有無
国内FXと海外FXの大きな違いとして、レバレッジに制限を設けているかどうかという点があげられます。
レバレッジを効かせることで、少ない証拠金でも大きな利益を生みだすことが可能です。
国内FXでは、規制により25倍までにレバレッジが制限されており、今後はさらにレバレッジの引き下げが起きるとも言われています。
一方で海外FXでは日本の金融庁が定める規制の統治下にないため、25倍以上のレバレッジを設定している業者も多いです。
400倍前後のレバレッジが一般的ですが、中には1000倍以上の高レバレッジのところもあり、国内FXと比較すると桁違いです。
効かせられるレバレッジが大きければ、実力以上のトレードができるので、資金が少なくても有利に取引を進められます。
下記の表は、主要な海外FX業者が設定している最大レバレッジ倍率です。
参考までにご覧ください。
最大レバレッジ | 口座名 | |
---|---|---|
XMTRADING | 888倍 | マイクロ口座、スタンダード口座 |
AXIORY | 400倍 | スタンダード口座、ナノ・スプレッド口座 |
HOTFOREX | 1000倍 | マイクロ口座 |
iFOREX | 400倍 | エリート口座 |
LAND-FX | 500倍 | Live口座 |
IS6FX | 1000倍 | マイクロ口座、スタンダード口座 |
ゼロカットシステムの搭載
ゼロカットシステム搭載の有無も、国内FXと海外FXにおける大きな違いとなります。
国内FXではゼロカットシステムはありません。
金融庁により禁じられているため、全ての業者においてゼロカットはできない決まりとなっています。
よってもし急な相場変動などで証拠金以上のマイナスが発生した場合、追証請求が起こります。
つまりトレーダーが借金を負うということです。
一方海外FXではゼロカットシステムを採用している業者が多く、万一マイナス分が発生しても、ゼロカットによりマイナス分は業者が補填してくれます。
このように海外FXでは借金リスクなしでトレードできるため、ゼロカットシステムが搭載されているのは海外FXにおける絶対的なメリットでしょう。
NDD方式とDD方式
注文方式についても、国内FXと海外FXでは違いがあります。
国内FXでは基本的にDD方式です。
DD方式とは相対取引とも呼ばれますが、トレーダーとインターバンクの取引にFX会社が介在するものになります。
要はFX会社の判断で、トレーダーの注文をインターバンクに通さないこともできます。
一方のNDD方式ではトレーダーの注文はインターバンクにそのまま流れるため、FX会社はあくまでも中継点に過ぎません。
このような違いから、取引の透明性という部分ではNDD方式の方が優位です。
もちろんノミ行為のようなことをおこなうと信用性の問題にかかわってくるので、まっとうな業者であればDD方式でも心配には及びません。
またDD方式の方が相場を安定させやすいため、狭いスプレッドの提供を出来るといったメリットもあります。
よってどちらがよいか一概には言えませんが、国内FXと海外FXでは注文方式に違いがあるという点は把握しておくべきでしょう。
自身の取引スタイルや考え方に応じて選ぶ必要があります。
海外FXならではのメリット
国内FXと海外FXの根本的な違い以外にも、海外FXならではのメリットがいくつかあります。
海外FXでは取引における制限が少なく、利便性が高いです。
取扱い銘柄も多いため、国内FXではできないようなトレードをおこなえる良さもあります。
自由なトレードをしたい場合やボーナスなどの特典を重視する人にとっては、国内FXよりも魅力的に感じるでしょう。
具体的なメリットについて掘り下げて解説します。
少ない資金で大きな取引が可能
前述のように海外FXはレバレッジ規制がないため、拠出金が少なくても大きなリターンを得られる可能性があります。
また、国内FXと比べると海外FXはロスカット水準も低いです。
ロスカットとは、損失が発生した時に業者が強制的に決済をおこなうことですが、このロスカット水準は業者によってさまざまです。
低めに設定されていれば、その分証拠金ギリギリまでトレードを続けることができます。
国内FXのロスカット水準は50%~100%としている業者が多い一方、海外FXでは20%~30%が一般的です。
ロスカット水準が低いと負けに耐えられる許容が大きいため、長くポジションを維持しやすいです。
有効証拠金を抑えつつトレードできるという点は、海外FXならではのメリットでしょう。
ボーナスが豪華なので敷居が低い
国内FXと比べると、ボーナスが豪華なのも海外FXならではの良さでしょう。
海外FXでは集客のためボーナスに力を入れている業者が多く、ボーナスを活用することで自己資金が少なくても実力以上のトレードをおこなうことができます。
代表的なボーナスとしては、口座開設によって貰える口座開設ボーナスがあげられます。
海外FXですと数万円程度が一般的ですが、国内FXでは数千円という業者が多く、金額が低い傾向にあります。
また口座開設だけでなく1取引に必要など条件が課されているケースも目立ちます。
もう一つ代表的なボーナスとしては入金ボーナスがありますが、こちらも海外FXの方が金額は高めです。
このように海外FXは特典が豪華なため、ボーナスだけで未入金トレードをおこなうことも可能です。
資金を用意できない人でもFXに参入しやすいというメリットがあります。
共通プラットフォームを使用している業者が多い
取引の成果を左右する要素の一つが、プラットフォームの使いやすさです。
性能が良く、操作性に優れたプラットフォームを利用すれば、優位にトレードをおこないやすくなります。
国内FXの場合は、各社でプラットフォームがばらばらなのが現状です。
よってそれぞれのプラットフォームに慣れないといけないことから、業者変更におけるハードルが高いです。
一方海外FXでは、世界でもメジャーなプラットフォームであるMT4やMT5の導入をおこなっている業者がほとんどです。
口座を変えても新たなプラットフォームを覚える必要がないですし、MT4やMT5は最先端のツールですから実用性に優れています。
特にテクニカル分析に関しては高性能ですから、有利に取引を進めやすいのがメリットでしょう。
下記の表はMT4とMT5の具体的な特徴ですので、参考にして下さい。
MT4 | MT5 | |
---|---|---|
特徴 | 多くの海外FX業者に対応しているプラットフォーム | MT4の進化版だが対応は一部業者のみ |
動作スピード | 普通 | 速い |
時観足 | 9種類 | 21種類 |
気配値及びナビゲーターウィンドウ | 機能が少なめ | 機能が豊富 |
EAの種類 | 豊富 | 少ない |
板情報 | 表示できない | 表示できる |
取扱い銘柄が豊富
取扱い銘柄の多さというのも、海外FXならではの魅力の一つです。
国内FXでトレードできる通貨ペアは、充実している業者でも数十種類です。
ドル円やユーロドルといった主要通貨ペアしか取扱いがないケースも目立ちます。
一方で海外FXですとマイナーな通貨ペアを取引できる業者もありますし、仮想通貨や貴金属などの取引も一緒におこなえることが多いです。
複数の口座を開設しなくてもさまざまな銘柄の取引が可能なため、利便性に優れています。
取扱い銘柄が豊富な海外FX業者ですと数百以上のトレードができるので、取引における自由度の高さがメリットです。
海外FXのデメリットと利用における注意点
海外FXはレバレッジが高く、追証もないことから、心置きなくハイリスクなトレードを実施しやすいです。
取扱い銘柄の豊富さやボーナスの多さなど、国内FXにはない魅力がたくさんある一方でいくつか注意点もあります。
しっかりとデメリットも把握したうえで海外FXを利用しないと、思わぬ損失を被ることも考えられます。
海外FX利用において気をつけるべきことを見ていきましょう。
国内FX業者よりも高くなる費用がある
海外FXでは以下2つの費用が国内FXよりも高くなりがちです。
- 税金
- 入出金手数料
よって、これらの費用分を補えるくらい儲けを出せるか考える必要があるでしょう。
海外FXの場合、取引コストに関してはどうしても国内FXよりも不利になることから、きちんと対策を踏まえながらトレードをおこなうことが大事です。
掘り下げて解説します。
税金
FXで年間を通じて儲けが発生した場合、納税しなくてはなりません。
基本的には給与所得者ですと、FXなどで20万円以上の所得がある際には、確定申告の義務があります。
この点に関しては国内FXも海外FXも同じです。
ただし海外FXでは税制上の優遇がほとんどないことから、同じ利益だとしても国内FXよりも納税額が大きくなる可能性が高いです。
国内FXの場合、申告分離課税となるため給与など他の所得とは別扱いとなり、一律20.315%の税金が課されます。
また損失の繰越控除もできるため、マイナスになった年は、翌年以降3年間の利益分と相殺が可能です。
一方海外FXの税区分は総合課税となることから、国内FXと比べると不利です。
累進課税ですから、利益が出て所得が増えるほど納税額も大きくなり、損失の繰越控除もできません。
きちんと納税をしなければ違法ですから、ごまかしたりせず申告をおこないましょう。
少しでも節税する対策としては、必要経費をしっかりと計上することです。
FXですと、パソコン代やサーバー料金などは経費として認められる可能性が高いです。
必要経費分を忘れずに記載し、少しでも所得を小さくする方法が有効でしょう。
入出金手数料
入出金手数料も、国内FXと比べると不利です。
国内FXなら入出金体制が整っているので手数料を安く抑えられますが、海外銀行への送金ですと数千円の手数料が発生することも珍しくありません。
また、海外FXにおける入出金は独自のルールが設定されていることもあり、仕組みがやや複雑です。
よってきちんと利用規約を確認することが大事です。
信頼性や安全性にやや欠ける
国内FXでは金融庁の監視下にあるため、トレードにおける制限がある一方で、安全面においては守られている部分もあります。
しかし海外FXでは日本のルールが当てはまらないため、管理体制のしっかりした業者でないと、信頼性や安全性には欠けます。
特に信託保全の有無に関してはデメリットです。
日本のFX業者は信託保全が義務づけられていますが、海外FX業者ではそれがありません。
よって万一業者が破綻した場合など、預けている資産が返還されない可能性もあります。
日本語サポートが充実しているか確認する
海外FX業者選びで失敗しないためには、日本語サポートが充実しているところを選ぶことが大事です。
日本語の公式サイトを用意している業者は多いですが、いざという時の問い合わせなども日本語対応可能か見ておきましょう。
中には日本語で返答してもらえても、AIのようにマニュアル的な返信しかもらえない業者も存在します。
日本語スタッフが常駐しており、専門的な質問にも対応してもらえるかというポイントを確認しましょう。
チャットやメールが用意されているなら、実際に利用する前に質問をして、サポート力チェックをおこなうとよいかもしれません。
まとめ
国内FXと海外FXは、同じFXではあるものの違いが大きいことから、それぞれの特徴を捉えたうえで業者選びをする必要があります。
利益を青天丼にすることも可能な海外FXは、少ない資金を大きく膨らませたい人向きです。
国内FXはレバレッジ制限が厳しいものの、信託保全が義務付けられているという安心感があります。
税制面も有利ですし、さまざまな取引コストを抑えやすいのが良さです。
ただしゼロカットシステムは海外FXだけですから、借金を負うリスクを避けたいのであれば、やはり海外FXを選んでおくべきでしょう。
海外FXにもいろんな業者があるため、きちんと体制が整った信頼できる業者を見つけてください。